2017年5月20日に有明コロシアムで開催された、WBA世界ミドル級王座決定戦をご覧になった方は、大勢の方が村田諒太選手の勝ちだと思ったはずです。
この記事では、ジャッジの疑惑の判定から村田選手の偉大さを伝えていきたいと思います。
ボクシングを全く知らない方にもわかりやすく整理しましたので、是非ご覧になってくださいねd( ̄  ̄)
まずボクシングには、下はミニマム級(47.61KG)から上はヘビー級(90.72KG超)まで、全17階級に分かれています。
村田選手が在籍するミドル級(72.57KG)は、重量級と呼ばれる階級になります。
このミドル級というのは世界中の猛者達が集っている、選手層が非常に厚い階級です。
そして、重量級というのは技術だけではなく、持って生まれた身体的な強さも必要になるので、ハッキリ言って日本人は相当不利です。
やはり白人や黒人のほうが骨格が大きいですし、強靭な肉体を持っています。
ちなみに過去ミドル級(重量級)でチャンピオンになった方は竹原慎二さん唯一人です。
※ミドル級以上でチャンピオンになった日本人は誰もいません。
アジアでも初の偉業なので、重量級を制した竹原さんは、歴代日本人の中で最強のボクサーと言えるでしょう。(もっと評価されるべき)
村田選手の戦績を簡単にお伝えしますと、アマチュア137戦118勝89KO・RSC19敗、プロ12戦12全勝4KO、そしてロンドンオリンピック・ミドル級の金メダルリストでもあります。
素人の私から見ても、どこからどう見ても素晴らしい戦績です。
5月20日の試合の内容
相手のエンダム選手はカメルーン出身のフランス国籍。
戦績 37戦35勝(21KO)2敗 そして過去にはWBO世界ミドル級王者にもなっている、まさに強者です。
写真からもフィジカルの強さが伺えますね。
このエンダム選手に勝てば、誰もが村田選手の強さに納得するでしょう。
私はライブ放送で12回戦全て見ましたが、村田選手は4回にエンダム選手からダウンを奪うなど、終始エンダム選手を圧倒していました。
でも、結果は1ー2の惜敗(せきはい)
このジャッジに会場内にいた1万人以上の観客からは大ブーイング、そしてネットも大炎上しました。
日本王者含む解説陣営も『この判定は到底理解出来ない』と発言していました。
私自身も村田選手の勝利を確信して『今日は良い気分で寝れるな』と思っていましたので、本当にショックで超凹みました(/ _ ; )
ちなみに村田選手は86年1月生まれの31歳、私とは生年月日が1ヶ月しか変わらないので、同級生を応援するような気持ちで試合を見てました。
それぞれのジャッジの詳細は以下になります。
- ラウル・カイズ・シニア(米国) 110 – 117 村田選手
- グスタボ・オパディージャ(パナマ)116 – 110 エンダム選手
- ヒューバート・アール(カナダ) 115 – 112 エンダム選手
赤くマークしましたが、シニア氏とオパディージャ氏のジャッジの点差が13点も開いているのは、明らかにおかしいです。
エンダム選手のほうが確かに手数は多かったですが、危険な場面や12回などもクリンチ(相手のからだに組みついて相手の攻撃を防ぐこと)で必死に逃げている様子が伺えました。
村田選手は手数こそ少なかったですが、何度も有効打を当ててますし、エンダム選手から有効打も貰っていません。
『手数を評価されたのでは?』となっていますが、相手に効いていないパンチを多く当てるだけでチャンピオンになれるのであれば、WBAのルールに大問題があると強く思いました。
ボクシングはエンターテイメントの部分が強いので観客は絶対に必要です。
でも、こんな理不尽な結果では誰もボクシングを見なくなりますよね。
観客がいなくては興行として成り立たないので、素人が見てもわかりやすいルールに変えるべきだと強く感じます。
ネットの反対意見として
『WBAのルールでは、手数が多いほうがポイントが高いに決まっている』
『本場アメリカでは、手数のほうが優先されるから当たり前の結果』
などありますが、そもそもWBAのルールブックには、有効打に重きおくことが前提という風に明確に記載されています。
更にアメリカ人の審判であるラウル・カイズ・シニア氏の採点が110 – 117と、村田選手に7ポイントも多く点数をつけているのが、全てを物語っていると感じました。
4つの主要団体
ちなみにボクシングには4つの主要な団体が存在します。
WBA | 創立1921年 | 加盟国90カ国 | ベルトカラー黒 |
WBC | 創立1963年 | 加盟国161カ国 | ベルトカラー緑 |
WBO | 創立1988年 | 加盟国65カ国 | ベルトカラー茶赤 |
IBF | 創立1983年 | 加盟国23カ国 | ベルトカラー赤 |
なぜ4つも団体があるのか?
元々は創立が一番古いWBAしかなかったのですが、WBAに対する不満・不公平などで分離や独立を繰り返し、上記のようになったようです。
一般的に一番格が高いと呼ばれるのが、WBC(World Boxing Council)世界ボクシング評議会になります。
WBCの参加国の多さが、世界的な信用の表れですよね。
そして、この中で一番格下の団体と呼ばれるが今回のWBAになります。
審判の質を見れば誰もが納得するでしょう。
再判定はあるの?
今回の試合のジャッジは日本だけでなく、世界中が超絶な大批判を示しています。
海外の2ちゃんねるのような掲示板でも大勢の方が村田選手の勝ちだと言ってますし、エンダム選手の所属国フランスでも110-118で村田選手の勝ちだったと報道機関が伝えています。
ちなみに今までもWBAの八百長や疑惑の判定などはよくあったようで、WBAはボクシング業界からは敬遠されていたんですね。
村田選手の陣営は、ミドル級という世界戦を組むのが非常に難しい階級ということと、他の団体のミドル級チャンピオン達の都合に振り回され、しょうがなく今回はWBAで行こうという話になったのですが、試合前から懸念していた問題が現れてしまいました。
でも世界は私達が考える以上に繋がっています。
今まではWBAのやり方が通ったかもしれませんが、今はフェイスブックやツイッターなどのSNSが発達してるので、たった1日で世界中に情報が拡散します。
その結果、WBAも今回のことを重く受け止めなければいけないでしょう。
この結果を押し通すのであれば、誰もWBAのボクシングなど見ようとは思わないはずです。
ちなみにWBAトップのメンドサ会長は、ツイッターで、自身がつけた採点では110-117で村田の勝ちとして『DIRECT REMATH(再戦)』と発信したようです。
これを受けて村田選手が所属する帝拳ジムの本田明彦会長は『これまでで一番ひどい採点』と怒りをあらわにし、『リマッチ?やりたくないですよ』とWBAへの不信感を強く示されたそうです。
私も本田会長と同じ気持ちです。
村田選手はタイトルマッチのためにプロに転向後5年以上の歳月をかけて、一度も負けずに勝利を積み重ね、人生を掛けて手に入れたチャンスを今回のジャッジに踏みにじられました。
再戦などではなく、裁定を覆して欲しいと思っています。
誰がどう見ても村田選手の勝ちだったのだから。
まあ仮に再戦になった場合は、次も村田選手はエンダム選手に圧勝するでしょう。
今回はWBAのトップもジャッジに対して強い不信感を抱いているようなので、再戦になる可能性は高そうですが村田選手のモチベーション次第かなと思います。
ちなみに強者であるエンダム選手を村田選手が圧倒した事実は世界中の人がご覧になったと思うので、村田選手の今後の評価は一気に変わっていくでしょう。
ミドル級の絶対王者
余談ですがボクシングのミドル級には、絶対王者ゲンナシーゴロフキンがいます。
ゴロフキン選手は『アマ350戦 345勝 5敗 プロ37戦 37勝 (33KO) 無敗』という戦績、更に主要3団体のチャンピオンでもあるので、まさに絶対王者と呼ばれる超人です。
今の村田選手の実力では90%勝てないと世間では言われているようですが、村田選手にはまだまだ伸び代があると思いますし、今回の試合の決着がつき村田選手がWBAのチャンピオンになれば、いつかはスーパースターのゴロフキン選手と戦う機会があるかもしれません。
ゴロフキン選手は全階級のランキングでも第3位という評価なので、もしアジア人の村田選手が勝つようなことがあれば、世界中が度肝を抜かれるでしょう。
今回は疑惑の判定で初黒星になってしまいましたが、村田選手の試合を見た人は『村田ならミドル級で十分通用する』というふうに誰もが思ったはずです。
そして、試合後に自身のフェイスブックでは、以下のように発信されています。
『多くの方に応援いただいたのに、勝つことが出来ず申し訳ございません』
『勝ってた負けてたはジャッジの仕事なんで、受け入れるしかありません』
『それがアスリートの役目かと思っています』
『エンダムと話してました。大切なことは、2人がベストを尽くしたこと、日本に来てくれて感謝していると伝えました』
『エンダムとエンダムのスタッフ達にも感謝いたします。ありがとうございました』
判定直後の村田選手の顔は唖然としており、ご覧になった方は誰もがショックを受けたかと思います。
ですが、村田選手は試合後も愚痴すらこぼさず、結果のみを受け入れるその美しい姿勢に、私は心から賛辞を送りたいですm(_ _)m
村田諒太選手は実力も人格もチャンピオンの器です。
私は今後の彼の活躍を期待しています。
この記事をご覧になっている貴女も同じ日本人としてミドル級という厳しい世界で戦っている彼を応援してあげてくださいd( ̄  ̄)