MT4の注文方法には、基本となる「成行注文」や「指値注文」がありますが、ちょっと変わった特殊な注文方法があります。
その名も「トレール注文」といいます。
トレール(trail)を直訳すると、引きずった跡、通った跡、痕跡(こんせき)、という意味があり、このトレール注文の大きな特徴は「逆指値が自動で変動」します。
トレール注文とは
一般的な注文方法は、「100円で1米ドルを購入した際に、101円で売る」といった為替レートに対する注文でした。
一方、今回解説のトレール注文は、上記のようなレートを指定しません。
100円で買って、指定した逆指値になったら損益が拡大する前に売りたい。でも、できる限り大きく利益は確保したい。そんなわがままな要求に対して、対応できるのがトレール注文になります。
ここで一つ、例を出しましょう。
あなたは100円で買って103円で売りたい(利益を確定したい)と考えているとします。
通常の逆指値注文(ストップ注文)を採用した場合
100円の買い注文をした時、逆指値で99円を指定して損切りラインを99円にしたします。この後、価格は102円までは上昇しましたが、103円の利益確定まで達せずに、下降し99円まで下がると、損切り注文が発生し、最終的に1円の損失になります。
現在の価格 | 損切り価格 | 取引結果 | |
開始時 | 100円 | 99円 | |
↓ | 101円 | 99円 | |
↓ | 102円 | 99円 | |
↓ | 101円 | 99円 | |
↓ | 100円 | 99円 | |
決済 | 99円 | 99円 | 100円⇒99円 結果:-1円 |
同じケースでトレール注文を採用した場合
100円で買い注文をした時、1円上昇するごとに、逆指値注文(ストップ注文)を自動でずらしていくトレール注文を設定すると…
100円で買った時点で、損切りラインは99円。その後101円になった際、相場より1円下の100円が損切りラインに変わります。これを繰り返していくと、下記のようになります。
現在の価格 | 損切り価格 | 取引結果 | |
開始時 | 100円 | 99円 | |
↓ | 101円 | 100円 | |
↓ | 102円 | 101円 | |
決済 | 101円 | 101円 | 100円⇒101円結果:+1円 |
このように損切りラインが自動的に有利なほうへ動くトレール注文を使う事で、-1円だった結果が、+1円になるのです。
トレール注文の損切りラインは、利益が出るほうへ変動しますが、損益が膨らむほうへは移動しません。そのため、利益方向へ相場が動けば、その時点で確実に利益確定できると言えます。
一度利益側へと逆指値の損切りラインが動きさえすれば確実に利益を確保出来る点がトレール注文の大きな魅力になります。
ただし、トレール注文はすべてのFX業者で行えるわけではないため、トレール注文の利用を考える際は、FX業者がトレール注文に対応している必要があります。
MT4(メタトレーダー)での、トレール注文設定方法
MT4(メタトレーダー)では、次のように設定します。
- ①注文をいれている取引を右クリック
- ②トレイリング・ストップから、自動変動するポイントを設定
例えば100.000の価格の時に買い、トレール注文を50ポイントに指定すると、価格が100.050に達した時点で逆指値が100.000に更新され、100.051に達した時点で100.001が逆指値に設定されます。
この時、指定できる最低値のポイントについてはFX業者によって異なります。自分は10ポイント刻みにしたいと考えていても、業者側の最低値は15ポイントや20ポイントの可能性がありますので注意が必要です。
トレール注文のデメリット
トレール注文もメリットばかりではありません。
トレール注文では、最初に指定したポイント分まで上昇した段階からスタートします。
つまり、そのポイント分の上昇がなければ、トレール注文として効力を発しません。
つまり、最初に100円からスタートし、1円単位でトレール注文を設定していたとしても99円、98円と値下がっていった場合、トレール注文による自動的な損切りは発生しません。
なので、トレール注文だけに頼らず、損切り注文もしっかりと入れておくという事が重要です。損切り注文を入れずにトレール注文だけにしてしまうと、損切りもされず、トレール注文も発動せず、気が付いたら大きな損を抱えているなんてことになりません。
この点に注意しておかないと思わぬ損失が発生する可能性があります。
まとめ
トレール注文は、一度、価格が思った方向(利益がでる方向)に動けば、確実に利益が確保できるとても優秀な取引方法です。なによりも、なるべく大きな利益を確保しつつ、リスクのケアが出来ると言う点で非常に優れていると言えます。
うまく活用することで、FXトレードの幅は大きく広がるでしょう。
今日はトレール注文について説明しました。