金融庁から気になるデーターが発表されました。
投資を学び、自分で資産を運用している方には、直接関係のないデーターかもしれません。
でも、このデーターを見ると、改めて「自分で自分の資産を運用できるように投資方法を学んでおいて良かった」と、おそらく思う事でしょう。
そして、今後、自分の資産を何に投資したら良いのか、自分の中の明確な判断基準が一つできる事と思います。
金融庁が銀行を対象にした投資信託の共通指標を公表
金融庁から主要行等9行、地方銀行20行を対象にした、投資信託の販売における比較可能な共通指標を算出した結果が公表されました。
比較可能な共通指標とは、下記の3つの指標です。
1)投信とファンドラップの運用損益別顧客比率、
2)投信の預かり残高上位20銘柄の購入コストとリターン
3)投信の預かり残高上位20銘柄のリスクとリターン
なじみの薄い指標かもしれませんが、要はこの3つの指標を通じて、手数料や商品のリスクに見合ったリターンを顧客が得られているかどうかを浮き彫りにするのが狙いになっています。
以下が、金融庁の分析結果です。
販売会社がどれくらいのリターンを個々の顧客に提供しているかについて、投資信託を保有している顧客の基準日時点の運用損益(手数料控除後)を算出した運用損益別顧客比率を見ると、主要行等9行・地域銀行20行合算ベースで、半数強の顧客の運用損益率がプラスである一方、35%の顧客が-10%以上0%未満であるなど、半数弱の顧客の運用損益率がマイナス。
各販売会社について、運用損益率が0以上の顧客の割合をみると、7割台の販売会社がある一方で、3割台に留まる販売会社もある。また、顧客の投資信託の平均保有期間が長くなるにつれ、各販売会社の運用損益率0以上の顧客割合が高くなる傾向。さらに、各販売会社について、平均運用損益率を試算すると、10%以上の販売会社がある一方で、0%未満に留まる販売会社もある。
各販売会社の投資信託預り残高上位20銘柄のうち設定後5年以上の投資信託について、コスト・リターンを検証したところ、両者に明瞭な関係が認められず、コストに見合ったリターンは必ずしも実現していない。
リスク・リターンは、リスクの上昇に伴いリターンも一定程度上昇する傾向が見られたが、シャープレシオ(リターン/リスク)で見ると、0.8台の販売会社がある一方で、0.3台に留まる販売会社もある。
※発表された資料はこちらからご覧いただけます。
資料を見ると詳細が記載されていますが、資料からは
- 投資信託を銀行で購入したお客様のうち、半数弱が運用損益率がマイナスであること。
- 銀行によっては運用損益率がプラスになっているお客様の割合が6割以上(29行中10行)となっているのに対して、運用損益率がプラスになっているお客様が5割以下の銀行が29行中9行あるということ
を読み取ることが出来ます。
なぜ、金融庁が共通指標を導入し、公表をしたのか?
金融庁の狙いは、先ほどもお伝えした通り、投資信託の購入においてお客様が取るコスト・リスクとリターンが相応かという点等を浮き彫りにすること。
金融庁は2017年に、家計の安定的な資産形成を実現するために、全ての金融事業者が顧客本位の業務運営を行うことが重要である、との認識の下「顧客本位の業務運営の原則」を策定し、金融機関に自社の取り組みや取り組みの進捗を示す指標の公表を求めてきました。
しかし、金融機関が独自に設定する指標は、算出方法がばらばらで、金融機関にとって都合のいい指標が公表されてしまえば、利用者の利便性にそぐわなくなってしまいます。
そこで、利用者が金融機関の状況を比較しやすくするため、長期的にリスクや手数料等に見合ったリターンがどの程度生じているかを「見える化」するために、比較可能な3つの指標を公表したという事です。
そして、金融庁はこのような分析を発表した上で、銀行等から自主的(実質的には半強制的)にこれらの指標を公表させようとしており、これにより、双方の指標を見ていくことで、金融事業者の取組状況を総合的に判断することが可能になります。
銀行から投資信託を買おうと思いましたか?
今回の公表によって、
- 投資信託を銀行で購入したお客様のうち、半数弱が運用損益率がマイナスであること。
- 銀行によっては運用損益率がプラスになっているお客様の割合が6割以上(29行中10行)となっているのに対して、運用損益率がプラスになっているお客様が5割以下の銀行が29行中9行あるということ。
が分かりました。
この結果を見る限り、(これまでも迷ったこともありませんが)一部を除いた大半の銀行から投資信託は買わないほうがいいと思ったのは私だけではないと思います。
実際に、銀行がすすめる投資信託には、
- 手数料が欲しいために、回転売買を推奨しているのではないか
- 銀行が儲かる手数料の高い投資信託を推奨しているのではないか
という問題点が指摘されています。
お客様にとってイイモノではなく、銀行にとって利益の上がる商品が売られているのではないかという事です。
こういった金融事業者の販売姿勢を正すために、今回、金融庁は新たな指標を導入して公表したのですが、、、、
本来であれば投資は自己責任
購入する側の個人が勉強をし、金融知識を身に付ければ、金融庁が今回のような金融事業者の販売姿勢を正す取り組みをしなくても、銀行の食い物にされることは避けられるという事です。
顧客本位の業務運営は必須だと思いますが、金融庁の取り組みに甘えるのではなく、金融知識を一人一人が身につけ、投資スキルを学ぶことの方が重要ではないでしょうか。
- 損をしたくないのなら、学ぶこと!
- 大手というだけで安易に信じないこと!
- 自分の意志で買うものを選ぶこと!
です。
特に、【自分の意志で買うものを選ぶこと!】が重要です。
今回は投資信託の話でしたが、普段の生活においても自分の意志で買うものを選ぶ事は、自分の資産を守る上で重要な要素です。
普段から「買った後に後悔をするケースが多い」「必要のないものを購入してしまう事が多い」いわゆる衝動買いが多い人は気を付けてくださいね。
もし何か買いたくなった時は、こんなルールを設けるといいですよ。
例えば、何か欲しいものがありその商品が3万円以上だったときは(金額は自分で決めて)、付箋に商品名と値段を書きます。そして手帳を開き、買いたいと思った日から1週間後の日付にその付箋を貼っておきます。そして一週間後、手帳を開いた時に、その付箋を見てまだ欲しければ購入する、というルールです。
このような期間を与えると、実際に購入に至るのは3割にも満たないケースが多いそうです。
無駄遣いが多いと感じている方はぜひやってみてください!