チャートを見ますと、値動きというのはジグザグと上下に推移していってるのが見てとれると思います。
よくこういった値動きの中で使われるFX用語の中に『ボラティリティー』という言葉があります。
『今、ボラが非常に大きい』『ボラが低い』など一度は見聞きした事があると思います。
今回はこのボラティリティーとは何かについての解説とそこから考えることのできるリスク管理を紹介していきたいと思います。
相場におけるボラティリティーとは
ボラティリティとは英語のVolatilityからきていて、金融工学においてボラティリティ(volatility)とは、広義には資産価格の変動の激しさを表すパラメータとされています。 ※Wikipedia参照
一般的に為替相場においては価格の変動率、または変動幅を表しています。
『ボラティリティが大きい』というのは、価格の変動が大きいことを表しております。
逆に『ボラティリティが小さい』といえば価格の変動が小さい状況であることを表しています。
レンジ相場の値動きの幅が一定で推移している場合は、『ボラが小さい、ボラが一定幅で推移している』などと表現され、反対に値動きの激しいトレンド相場などの場合『ボラが大きい』などとよく表現されます。
ボラティリティーから相場を考える
ボラティリティーの簡単な意味はご理解していただけたかと思いまが、次にこのボラティリティーをリスク管理という側面からの考えてみたいと思います。
ボラティリティーが低い、小さい場合の考え方
変動幅があまりにも小さい場合は、上にも下にも動く幅が小さいのでエントリーしても利益に変えていくのが難しいです。
相場で利益を上げていくにはある程度のボラティリティーが必要です。
実はここで難しい問題に直面します。
ボラが大きい小さいという判断はチャートの左側、過去の値動きから判断します。
今現在、ボラティリティーが小さい相場でもやがて値動きが膠着し、変動幅が更になくなってくると、ある機を境に一気に一方向へ急激に動くという事が相場ではよくあります。
考えられる理由をいくつか挙げますと、まず世界中のトレーダーも値動きが膠着しだすと売りにも買いにもエントリーできないですからイライラしてきます。
売る、もしくは買う材料がないか、どうにかエントリーできないものかそわそわしてきます。
人間の心理状態ですから世界中、皆さほど変わりはありません。
こういった状態の時に、エントリーできるほんのちょっとのニュース(材料)が入ると、堰を切ったように、買いまたは売りと大量に注文が入ります。
または、大口の投資機関が一方向に大量の資金を投入し、価格誘導などを行うと『それ待ってました!』とばかりに動いた方向に、世界中のトレーダーが我先にと同じ方向に注文を入れ、一気に一方向へ価格が急激に動くといった状態になります。
この様な、あまりにもボラティリティー(変動幅)が小さい場合はやがてどちらかに大きく動くかもしれないと考え、トレードに役立てるとそれだけでかなりのリスクを回避、軽減することができます。
ボラティリティーが一定の場合
下記画像は15分足ですがローソク足が約50pips幅を上下に行ったり来たりしています。
チャートではレンジ相場になっている事が多く、こちらも前述の通り一定幅である事を前提に、決まった一定幅、上がったら売り、下がったら買いといった感じに、一定幅を利用した逆張りなどが売買の考え方の一つとしてあげられます。
こちらも変動幅の推移に注意しながら徐々に変動幅がなくなってくるようであればやがて一方向へ急激に動くかもしれないといった可能性を考慮する事が必要です。
過去のデータを参考に現在の状況を把握しながら、それがいつかは崩れるという事を頭に入れておく事が大切です。
ボラティリティが高い、大きい場合の考え方
ボラティリティーが大きい、言い換えるとよく動くということですから、売り買いの方向性を間違わなければ大きな利益につなげる可能性は高くなります。
ただ、大きな利益につながりやすい可能性があるという事は反対に、エントリー方向を間違うと大きな損失になる可能性もあります。
こういった場合、リスク管理という側面から考えると、大きな変動幅がご自身のリスク許容範囲であるかをまず考えます。
例えば、資金100万円、1lot(10万通貨)でエントリー、利確幅30pips、損切幅30pipsという取引をして、ロスカットになった場合、3万円の損失になります。
もし変動幅が大きく100pipsもある相場であれば、ロスカット幅30pipsでは、ロスカットになる確率が高くなります。
でも、リスクにあてられる資金は3万円しかない!
こういった場合、lot数(注文量)を調整しロスカット幅を広げます。
- 0.5lot(5万通貨)に減らし、ロスカット幅は60pipsに広げても、損失額は3万円
- 0.3lot(3万通貨)に減らし、ロスカット幅は100pipsに広げても、損失額は3万円
になります。
このように同じリスク(許容できる損失額)でもロット数を調整することによって、その時のボラティリティーを考慮したエントリーというものが可能になります。
極論をいうと、例えば変動幅が100pipsもある相場の時に、損切幅を10pipsで臨むエントリーは、少し反転しただけですぐにロスカットしてしまうので、最適な損切幅とは言えませんよね。
ボラティリティが大きい場合は、リスクをおえる許容範囲を決め、ボラティリティーを考慮し、注文量を調整していくと無理なく取引ができます。
最後に
ボラティリティーを相場にどう使うのかをリスク管理という側面から紹介、解説させていただきました。
ボラティリティ | 留意する点 |
ボラティリティーが低い、小さい場合 | ・エントリーしても利益に変えていくのが難しい ・やがてどちらかに大きく動く(トレンド発生の)可能性が高くなる |
ボラティリティーが一定の場合 |
・一定幅を利用した逆張り取引が有効 ・徐々に変動幅がなくなってくるようであれば、やがて一方向へ急激に動くかもしれない |
ボラティリティが高い、大きい場合 |
・売り買いの方向性を間違えるとすぐに損切りになる ・リスクの許容範囲を決め、ボラティリティに合わせて注文量を調整する |
ボラティリティーをリスク管理という側面で考える例を紹介させていただきました。
こういう考え方もできると参考になれば幸いです。