為替、株などに携わっていますとよく耳にしたり、目にする言葉に『ファンダメンタルズ』というものがあります。
意味が分かるような分からないような…やり過ごしているかもしれませんが、『ファンダメンタルズ』をうまく使いこなすことで、トレードでは相場の大まかな方向性が捉えやすくなります。
今回はこの『ファンダメンタルズ』についての説明に加え、誰でも簡単にできる情報収集や活用方法などを紹介していきたいと思います。
ファンダメンタルズとは?
ファンダメンタルズを直訳すると『経済の基本的条件』となりますが、直訳しても分かるような分からないような感じですね(笑。
『経済の基本的条件』とは何でしょうか。
国の経済を成り立たたせているものには、
- 人(国民がいないと国は成り立ちません)
- 仕事(人が生活を営むには仕事(雇用)が必要です)
- 衣食住(人が生活をする上で食べものや着るものが必要になってきます)
などがあります。
仮に一つの国に人が溢れたと仮定した場合、仕事(雇用)もそうですが、食べものや衣類が不足してきます。需要と供給のバランスが崩れ、少ない物資を国民が奪い合い、物の価値(物価)があがります。もしこれが逆の場合(人が少なくモノがあふれた場合)は、モノの価値(物価)が下がります。
このような国の状況を、感覚的ではなく、数値であらわしたものを経済指標といい、その総称をファンダメンタルズ(経済の基本的条件)といいます。
経済の状況を数値化した代表的なものには、
・GDP(国内総生産)
・失業率
・貿易収支
・小売売上高
・消費者物価指数
などがあります。
「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)とは」
その国の経済が好調か不調かを数値化したもの。数値化したものを経済指標と言い、様々な経済指標の総称がファンダメンタルズです。
ファンダメンタルズは国の運営においても重要な数値となる
例えばある国で失業率が高いのに、物価が右肩上がりであれば、購入を抑えるようになります。仕事がない、給料が上がらないのに物価は上がり続けるとなれば、出費を抑えようとしますね。消費がなくなると、ものが売れなくなり、在庫を抱え生産が落ちます。
政府としてはなんとかバランスを変えないと国が破綻してしまいますね。
そこで、「物価の上昇をおさえてみよう」「雇用をなんとか増やしてみようという」という試みが、国や政府の『政策』になります。
なので『ファンダメンタルズ』というのは、国を運営する政府にとっても非常に重要な数値になっているという事です。
FXトレードではどうやって活用したらいいのか?
ファンダメンタルズの情報から、政府、国の運営方針(考え)や手段(政策)を汲み取り、日々の投資に活用していくというのはなんとも壮大な話です。
では、どのように活用したらいいのか。
個人トレーダーにとってファンダメンタルズは独りよがりな判断を避け、事実を正しく認識するための情報として活用することができます。
どういう事かと言いますと、例えば、勤務先の給料が上がらない、減給になった、ボーナスが上がらないとなると、あなたは「景気が悪い」と感じるかもしれません。でも、経済指標を見ると、社会全体としては鮮明に景気回復の兆候が出ている、ということもあります。
投資において重要なことは、独りよがりな判断をしないことです。
もし、自分の給料が上がらない=景気が悪いという判断をし、それに基づいて投資スタンスを決めてしまった場合、もし経済指標で、社会全体として景気回復の兆候が出ているのであれば、世の中の大半の投資家はそれを大前提に投資をしますので、自分の判断とは真逆に相場が動く、なんてことにもなりかねません。
なのでファンダメンタルズというのは、自分の思い込みや独りよがりな判断を避け、客観的なデーターを基に投資判断ができるという点で、転ばぬ先の杖のような役目を果たしてくれます。
では具体的に、どのような情報収集をし活用していくかご紹介していきます。
情報収集のポイント
扱う通貨ペアに関係のある経済情報を収集する
例えばドル円をメインに取引されているなら、米国、日本の経済情報を収集します。
ブラジルやニュージーランドの情報は必要ないのがわかると思います。
*厳密には全く影響を受けない関係ないというのも言い切れませんが、相関性などを考え出すとキリがありませんので、まずは、自身が取引する通貨ペアにダイレクトに関係のある情報を集めていきます。
経済指標が発表される時間と重要度を収集する
重要度が高ければ高いほど、指標発表の結果次第で値動きが大きく上昇したり、反対に大きく下落したりします。必ず重要度の高い指標発表時間帯は把握し、その時間帯はエントリーを避けるなど対策が必要です。
為替相場に影響の高い重要な経済指標を把握しておく
- GDP(その国の経済規模を示す指標)
- 消費者物価指数(一般消費者が購入する商品とサービスの価格の動きを指数化したもの)
- 失業率(その国の雇用状況を把握する指標)
- 政策金利(中央銀行が一般の銀行に融資する際の金利)
- 貿易収支(輸出量と輸入量の差額で実態を把握しやすく注目されやすい指標)
- 小売売上高(小売業者の売上額をまとめた指標)
国の政策を実行している機関と経済政策を把握しておく
日本:安倍政権/中央銀行(日本銀行)/金融緩和政策
日本は安倍政権日本の中央銀行は日本銀行です。最近は政策が若干、かわりつつありますが最近までアベノミクスとして『金融緩和』に力を注いできました。色々な政策があげられ、遂行されてきましたがこと為替相場に関していいますと、他の通貨に対して円を安くする円安誘導がなされてきました。
米国:トランプ政権/中央銀行をになう機関FRB(米国連邦準備委員会)/段階的に利上げ推進
米国はゼロ金利政策を終了し、段階的に利上げを推進していく政策。先日、トランプ氏に大統領が変わりましたので今後政策がどう動いていくかはこれから次第ですが、為替相場に関しては他の通貨に対しドルを高くもっていきたい考えです。
このように取引に使う通貨ペアに関係のある国の経営方針、金融政策を知っておくとざっくりとではありますが、チャート上でその通貨が目指している方向性がつかめてきます。
各国の重要人物(要人)を把握しておく
安倍晋三氏、トランプ氏、FRB議長イエレン氏、日銀黒田総裁など
国の政策に携わっている要人を把握しておくと、その人たちの発言や決定事項が為替(値動き)に影響されるという事がわかってきます。例えば米国の金融機関の要人が『来月利上げします』と発言すれば、期待でドルが買われるだろうなと推測できます。
このように、客観的なデーターや情報から通貨にどう影響がでるのか簡単に全体像を推測する事ができます。
まとめ
集めた情報の活用 | ||||||||
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ファンダメンタルズは活用方法が分かれば、トレードの判断にも有効で、無駄な損失を出さないことにも繋がります。
上記の手順を中心に情報を集めていけばチャートのみの情報では汲み取る事のできない新たな要素がご自身の手法や考察にくみこまれる事と思います。
最初は戸惑うかもしれませんが一度収集し、組み立ててしまえば国の政策が変わるまで基本的に使えますから今からでもコツコツやってみてはいかがでしょうか?