FXの基本的な注文方法として「成り行き注文」と「指値注文」があります。また、「指値注文」には、「逆指値注文」という使い方があり、主に損失の拡大を防ぐことに大きな効果があることを説明しました。
ここからは、さらに便利な注文方法について説明していきます。
基本となる考え方は「指値注文」と「逆指値注文」です。これらを組み合わせ応用した注文方法が3つ存在します。
- IFD注文
- OCO注文
- IFO注文
それぞれ大きな利点があり、既存の考え方を組み合わせただけの簡単な応用であるためしっかりと理解してFXトレードに活用してください。
IFD注文
IFD注文とは、If Doneの頭3文字からとった注文方法です。
もし約定したら、という意味になります。約定とは、指値注文時、条件を満たして注文が入ったことを指します。
IFD注文は、『もし注文が約定したら、この値で決算注文する』というセット注文の方法を指します。
指値注文は、この値段になったら買う or 売るという注文方法です。このとき、注文回数は1回になります。IFD注文は、それを便利にするためにこの値段になったら買う or 売り、それがこの値段まで動いたら売る or 買うという「売買をセットにした注文方法」と言えます。
円と米ドルで考えてみます。
例えば、現在の相場が1米ドル100円だとします。米ドルを買って、米ドルを売ることで利益を得たいと考えた場合、米ドルは現在相場よりも少しでも安い値段で買いたいと考えるのが普通です。
このとき「99円になったら米ドルを買う」と入れる注文が「指値注文」です。99円に下がらなかった場合、いつまでも買わないのが特徴です。
また、99円で買ったとしても次に「101円になったら売る」という決済用の「指値注文」を入れるか、チャートの値動きを見て「成り行き注文」で売る必要があります。
プロセスとしてやりたいことについて予め決まっているのであれば、1回で済むほうが楽です。IFD注文は、この売買両方について指定する注文方法になります。
1米ドル100円の時に「99円になったら買い、101円になったら売る」という指値注文を入れる。これがIFD注文のわかりやすい例になります。
これによって、常にチャートを見ることが出来ないとしても、売買が1つの注文で解決し、かつ自分の売買の意思を明確にした注文を出すことが出来ます。
ただし、指値注文が抱える潜在的なリスクはそのままであるため、「いつまでも買い注文が約定しない」「いつまでも決済注文が約定しない」というリスクがあります。
99円になったら買う
⇒99円にならない限り注文が入らない⇒機会損失の可能性
101円になったら売る
⇒101円にならない限り決済注文が入らない⇒損益拡大の可能性
IFD注文によって99円で買うことが出来たものの、101円にいつまでも届かず、90円まで下がってしまった場合、9円の損失が出てしまいます。
IFD注文は、売買をセットで扱うことが出来るため非常に便利ですが、市場の値動きは必ずしも想定どおりに動くとは限らないため、定期的にチャートを確認することが大事になります。
しかし、チャートに張り付く時間を減らすことができ、2回の注文を1回の注文で解決できるため大幅に手間を減らすことが可能になります。
IFD注文で決められること
- どこで取引スタートするか
- どこで決済するか(利益確定OR損切り確定)
OCO注文
OCO注文とは、One Cancels the Otherからとった注文方法です。
どちらかが約定したら、逆側をキャンセルするという意味になります。
OCO注文は、『もし一方の注文が約定したら、もう一方の注文をキャンセルする』という条件付きでのダブル注文の方法を指します。
円と米ドルで考えてみます。
例えば、現在の相場が1米ドル100円のときに買い注文が約定しているとします。このとき101円になったら利益を確定するために売りたいと考えています。しかし、99円まで下がった際は損失を拡大させないために売りたいと考えています。この両方の思惑を反映した形で入れる注文が「OCO注文」になります。
OCO注文は、指値注文によるこの値になったら 売る or 買う の上限下限両方で設定し、どちらかを満たした場合、そちらの注文を約定し、逆側をキャンセルします。
OCO注文の利点は、利益確定と損切りの両方を指定できることにあります。
100円から101円で約定した
⇒利益確定
100円から99円で約定した
⇒損切り
OCO注文は、新規に注文を入れる際か、決済注文を入れる際に使用することが出来ます。決済注文に用いれば上記のように「指値注文 or 逆指値注文」によって値の変動幅を限定することが出来るため、長時間チャートを眺めることが出来なくても巨大な損失を生まなくて済むというメリットがあります。
しかし、新規の注文か、決済の注文のどちらかでしか使えないため、IFD注文のように売買がセットになっていないことには注意する必要があります。
特に、新規の注文に関してOCO注文をもちいた場合、その後の決済注文に関してはノータッチであることに気をつけなければなりません。しかし、定めた範囲から大きく逸脱せずに売り or 買いができることは大きなメリットと言えます。
OCO注文で決められること
- どこで利益確定するか
- どこで損失確定するか
指値注文と逆指値注文を同時に発注
IFO注文
IFO注文とは、IFD注文とOCO注文を掛け合わせた注文方法になります。
IFO注文は、『もし注文が約定したら、決済はどちらか先に約定した側で行いもう片方はキャンセルする』という注文方法を指します。
円と米ドルで考えてみます。
例えば、現在の相場が1米ドル100円だとします。IFD注文と同じく99円になったら買うという「指値注文」で新規の注文をします。
IFD注文の場合、セットに出来るのは101円になったら売るという単一の決済注文だけです。この決済注文の部分にOCO注文を用いて101円になったら利益確定で売る。ただし98円になったら損切りで売る。と二つの異なる「指値注文」による決済注文を用意できます。これがIFO注文になります。
99円で買い、101円で約定した
⇒利益確定
99円で買い、98円で約定した
⇒損切り
IFO注文は、IFD注文のもつ売買の両方を一度に入れることが出来る利便性と、OCO注文のもつリスクマネージメントの能力を合わせた注文方法と言えます。IFDとOCOの両方のメリット部分を合わせもっているため、非常に有効な注文方法です。
これによって、売買が自動で完結し、かつリスクもケアできるため長時間チャートを見ることが出来なくても定められた範囲内の利益、損益で確定します。
IFO注文をうまく使いこなすができれば、忙しい中でも決済の自動化が出来るため、FXトレードにおいて非常に有効な手段といえます。
ただし、OCO注文と同じくリスクをケアできる点はありますが、大幅な利益が出る相場であっても、一定位置での利益確定が行われる可能性があり、大きな利益を確定させる機会を失う可能性は残っています。
しかし、FXトレードは「いかに損益を小さくするか」が成功のカギです。
もっと大きく利益を伸ばせたという部分を追いかけるよりも、手堅く利益を確定すること。損益を少なく出来ることの強みに着目するように心がけてください。
IFO注文で決められること
- どこで取引スタートするか
- どこで利益確定するか
- どこで損失確定するか
まとめ
今回は、IFD注文、OCO注文、IFO注文の3つの注文方法について説明しました。
なかでも、IFO注文はIFD注文とOCO注文のメリット部分を利用し、売買を自動化しつつ利益・損益の幅を限定できる非常に優れた注文方法であるといえます。
注文方法 | 特徴(決められること) |
IFD注文 | どこで取引スタートするか どこで決済するか(利益確定OR損切り確定) |
OCO注文 | どこで利益確定するか どこで損失確定するか |
IFO注文 | どこで取引スタートするか どこで利益確定するか どこで損失確定するか |
それぞれの注文方法を使い分けて上手にFXトレードを行うことがポイントになるでしょう。
今回は、FXトレードにおける特徴的な3つの注文方法についてでした。