FXでチャートを見ていますとローソク足の動きに『アレ?どこかでみたことあるなぁ』と感じる場面に遭遇した経験、皆さんもあると思います。
この『アレ?』という疑問符は、ただの思いつきやひらめきではなく、頭のどこかに記憶されている過去の同じようなローソク足の動き方を無意識に認識しているんです。
これをパターン認識と言います。過去と同じようなローソク足の動きや、値動きの推移は為替相場には多々あり、このパターンがでれば次はこう推移していく可能性が高いなど、先の値動きの予測に生かすことができます。
そしてこのパターンには、色々と名前がついています。
例えばヘッドアンドショルダー、ダブルトップ、ペナントなどなど、どんなパターンかわからなくても、どこかで耳にしたり目にしたりしていると思いますが、これらのパターンはある程度覚えておくと損はないので覚えておくことをお勧めします。
なぜパターンを覚えたほうが良いのか?
パターンというものは無意識下で『見たことあるよなぁ』と漠然と感じるより、どういったパターンかを理解、覚えてしまうほうが先の値動きの予測やエントリー、利確、損切と戦略を立てるにあたっての要素の一つとして役立てられるという事は一目瞭然です。
覚えるにしても、どうせなら少しでも面白いほうが興味が湧き、記憶しやすいですよね!
今回は少し切り口を変えてチャートパターンというものを紹介してみたいと思います。
日本語版チャートパターン 酒田五法
パターンを知る前にヘッドアンドショルダーやダブルトップなどすべて英語表記です。
今の時代、英語に違和感や嫌悪感を抱く方はいないと思いますが(笑)
実はこのパターンに名前をつけたものが、日本語でも存在するんです。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、江戸時代に日本人が同じようにパターンに名前を付け、米相場に使っていたローソク足やパターンといったものがあります。
酒田五法(さかたごほう)とは、出羽国(現在の山形県酒田市周辺)出身の江戸時代の相場師本間宗久によって考案されたローソク足の並びを基本としたテクニカル分析のひとつ
Wikipedia参照
江戸時代に世界に先駆けて日本では米の先物相場が出来上がっていました。
驚べきはその米の先物相場で、『ローソク足』的なものが発明され、罫線法といういわゆるチャート分析法も考案されていました。
その先物相場で『相場の神様』と呼ばれた男がこの本間宗久氏なんです。
なんだかかっこいいじゃありませんか(笑)
少し興味が出てきましたか?
早速どういったものがあるのか簡単に紹介していきます。
酒田五法について
酒田五法には基本パターンとして三山、三川、三空、三兵、三法があり、この5つを総じて『酒田五法』と呼ばれていています。なんだか兵法の巻物みたいです。
すべてを紹介するには量が多すぎますので、いくつかのパターンを今回は紹介させていただきます。
酒田五法その壱 三山
上昇相場において3回、山があったらそのポイントが天井で、英語版チャートパターンで置き換えるとトリプルトップなどと呼ばれています。
上昇相場で3回、天井と思われる価格にコツンコツンコツンと当たり跳ね返されるようであれば、それは上昇の限界に達したと言う“サイン”という捉え方。その後は反発して下落に転じるであろうというパターン認識になります。
トリプルトップ=3つの頂点=三山
といった具合に時代、言葉、人種も違うのに考えることに大差はないのが面白いですよ。
酒田五法その弐 三川
下降相場で3回谷があったら底になり英語版ではトリプルボトムなどと呼ばれています。
下降相場で3回、底と思われる価格にコツンコツンコツン当たり跳ね返されるようであれば、下落の限界に達したと言うサインというとらえ方でその後は反発、上昇に転じるであろうというパターン認識です。
酒田五法その参 三尊・逆三尊
上の三川や三山と形は似ていますが、真ん中だけ少しとびでている形を『三尊』呼びます。
トリプルトップやトリプルボトムと同様に天井や底のサインになります。上昇相場で『三尊』が出れば下落に転じる可能性が高い、反対に下降相場で『逆三尊』が出ると上昇に転じる可能性が高いといったパターン認識になります。
英語版だとヘッドアンドショルダーと同じ意味合いを持ちます。
酒田五法その四 上げ三法・下げ三法
一番解釈困難とされているのが三法と言われ今現在では売り、買い、休みという解釈をされているらしいです。
下の図のように上昇相場で大陽線の後、小さな陽線、陰線などをはさんでから、最初の大陽線の高値を上抜く陽線が出現すればさらに強力に上昇するという捉え方で、上げ三法と呼ばれています。その反対が下げ三法です。
小さな陽線、陰線などを挟み『休んで』から爆発というイメージなので、まったく同じ形はないのですが、決まった範囲を行ったり来たりしてからやがて一方向へ大きく動くので英語版ではウェッジ、フラッグ、ペナントなどに近いイメージですね
その他パターン
- 放れ七手の変化底
- バケ線
- 三手放れ三ツ星
- 下放れ二本黒
- 放れ五手黒一本底
などなど、雲隠れ雪之丞みたいな剣術使いが、殺法を繰り広げているみたいですが(笑)
英語版のチャートパターンよりももう少し踏み込んだ感じの細かなパターンがあるのがこの酒田五法の特徴でもあります。
まとめ
日本語版 | 英語版 |
三山 | トリプルトップ |
三川 | トリプルボトム |
三尊 | ヘッドアンドショルダー |
逆三尊 | 逆ヘッドアンドショルダー |
三法 | ウェッジ、フラッグ、ペナントなど |
なぜパターンというものがあるのか?
なぜチャートでパターンというものが存在しているのか深く考えだすと、卵が先か鶏が先かみたいな話になってしまいす(笑)
例えば上に記した三山などは三回天井をたたいて駄目だったので一旦あきらめ下落(売られた)、三川などは三回底をたたいて大丈夫だったのでそのポイントをサポートとして使い上昇(買いに)転じたなど、参加する人々の心理状態を形にしたものがパターンです。
更にそのパターンを広く知られるようになると、チャートを見ていてパターンが出来てくると、『次はこうだろうな』と考える人が多くなり、結果パターンになるような売買を皆がするので、やはりパターンになる
まさに卵が先かニワトリが先かの話になってしましました。
ただ間違いなしに言えることは参加者の心理状態を表しているのがパターンだという事です。
パターンを覚えるコツ
今回は酒田五法という切り口から、いくつかのチャートパターンを紹介しました。
酒田五法は日本語ですから、パターン名の意味を考えながらパターンを覚えるのも良いですし、英語に訳したらどんなチャートパターンになるのかな、反対に英語のパターンを日本語に訳したらどれになるんだろうなど考えながらパターンを覚えていくというのも面白いかと思います。
もちろん『英語で構わん!』いう方もいらっしゃると思いますから、英語で覚える際にも面白味を感じるアイデアを出して覚えていくと単調な作業も無理なくこなせていけると思います。
どちらにしろパターンというのは参加者の心理状態を形にしている以上、相場に反映されるのは大なり小なりあります。
『このパターンがでたら次は100%こういう動きになる』といったわけではありませんが、漠然と『なんだか見たことあるなぁ』よりも、パターンを知っていた方が、節目やトレンドライン、テクニカル指標など他の要素と合わせて、先の値動きの予測を立てやすくなるのは合点招致の助です(笑)
ですので、ある程度有名なチャートパターンは覚えておくことをお勧めします。