テクニカル指標でメジャーなものといえば移動平均線や一目均衡表、ボリンジャーバンドなどがあげられます。
この王道のテクニカル指標の中でも特にメジャーなボリンジャーバンドの特徴や使い方などを紹介していきたいと思います。
ボリンジャーバンドってそもそも何?
そもそもボリンジャーバンドって何でしょう?
チャート上でローソク足の上下、1本~3本ずつ位、値動きを覆っているような曲線を見たことがあると思います。
少しネットで調べたり勉強すれば、値動きがこの曲線に当たれば内側へ反発する、『壁のようなもの』というのがざっくりとわかってくると思います。
最初、為替をやりはじめた頃ですと『ふ~ん、値動きはこの曲線で跳ね返るのね?』くらいなのですが、徐々に経験や知識を身に付けてくるとこのボリンジャーバンドというテクニカル指標は、
人によってはトレンド系の代名詞みたく紹介していたり、
人によってはレンジでの攻略の手掛かりに使われていたり、
為替に対しての理解や経験が増すごとに『どっち?』の疑問も増してくるのがこのボリンジャーバンドです(笑)。
結論を先に言いますと、どちらでも使えます。
この『どっち?』をこれから順に紐解いていきたいと思います。
ボリンジャーバンドの成り立ち
考案者はジョン.A.ボリンジャーで1980年頃に発表、名前もそのまま使われています。
一般にはその壁としての役割から逆張りに分類されますが、この考案者のボリンジャー氏は順張りに使っていました。
この逸話からもトレンド、レンジ両局面からボリンジャーバンドを使うことができるという事です。
ボリンジャーバンドの構造
ボリンジャーバンドは以下の数式で算出されます。
標準偏差 σ
σ=√(期間×期間内の終値の2乗の合計-期間内の終値の合計の2乗)÷(期間×(期間-1))
数式だけ見ても全くピンッときませんね(笑)
ボリンジャーバンドの構造としては移動平均線を中心とし、それに標準偏差などを加え±2σや±3σなどのバンドを構成しているといったシンプルなとらえ方でよいと思います。
それでも正直、難しくてよくわからないですよね(笑)。
この数式で導き出した曲線から何を見て取れるのかといいますと
相場の将来的な価格変動幅が一定の確率のもとこの中心線(移動平均線)を基準に±1σ~±3σの範囲内におおむね収束する
これを視覚的に表現したものがボリンジャーバンドになります。
次にこの一定の確率とはどういったものか?こちらを紹介していきます。
ボリンジャーバンドの特徴
数式により求められた一定の確率、これがボリンジャーバンドの最大の特徴で、この特徴を相場の流れや将来の価格変動幅の考察に利用していきます。
一定の確率とは?
- ボリンジャーバンド±1σ内に値動きが収まる確率は68.3%
- ボリンジャーバンド±2σ内に値動きが収まる確率は95.5%
- ボリンジャーバンド±3σ内に値動きが収まる確率は99.7%
この上記に記したものがボリンジャーバンドの一定の確率というものになります。
ただここで『疑問』が生まれます。
±2σで95.5%、±3σなどは99.7%の確率で値動きが内に跳ね返るという事になります。
外へ抜けていく確率はわずか5%未満、この条件どうり値が動くなら、そのあたりに値動きが到達したら逆張りを仕掛ければ勝率は95%、、、
とんでもなく最強のテクニカル指標になっちゃいますね。
実際のチャート上の値動きを追っていただければわかると思いますが、そんなおいしい話はありません(笑)
それでは為替参加者が皆勝ちますよね
ですのでおおむね収束する、そういった値動きになる可能性が高いという、あくまで確率の話です。
そのままなにも考えず単純にエントリーポイントとして使い続けたなら高い確率で最終的には負けてしまいます。
そうならないよう次の章でこのボリンジャーバンドを相場で利用するにあたり、抑えるべきポイントをいくつか紹介していきたいと思います。
ボリンジャーバンドの抑えるべきポイント
次にこのボリンジャーバンドを相場に利用するためにに抑えるべきポイントを紹介します。
ポイント①
『ボリンジャーバンド±2σ内に値動きが収まる確率は95.5%』このボリンジャーバンドの特性を相場に利用した場合、±2σをローソク足の実体が抜けたらトレンド発生する可能性が高いと考えることができます。
ポイント②
逆にローソク足の実体ではなくヒゲがぬけただけの場合、ダマシの可能性がある(トレンドの可能性は低い)と考えることができます。
ポイント③
レンジ相場かトレンド相場かを見極めるためにボリンジャーバンドの上下の幅を相場に利用するという事も出来ます。
ボリンジャーバンドの考え方では、この上下の幅が将来予想される値動き、価格の変動幅(ボラティリティ)と考えられるので、この幅が一定(変動幅が狭い)で推移している場合、レンジ相場と認識することができます。
ポイント④
この一定幅で内側へ跳ね返りながら推移していく値動き(レンジ)も永遠に続くわけではありません。この一定の変動幅がやがてどんどんと狭くなっていきます。
注文売買の側面から考えると売り買いが拮抗している状態です。この拮抗状態もやがて崩れます。崩れると値動きがより多く注文の入ったほうに大きく動いていきます。
これをボリンジャーで視覚認識するとバンド自体が収縮(売買が拮抗)、やがて大きく拡大(売買の拮抗が崩れる)していくという状態になります。
これをエクスパンション(拡大)と呼び、レンジ相場が終了し、強いトレンドが発生、トレンド相場へ流れが変化していきます。
上記がボリンジャーバンドを利用するにあたっての抑えておくべきポイントになり、これに他のテクニカル指標やレジサポ、トレンドラインなどを組み合わせたりして順張りや逆張りエントリーの手掛かりとしていきます。
これ自体をエントリーポイントにするのではありません。
エントリーポイントを導き出すための手掛かりの一つとして使用することをお勧めします。
ボリンジャーバンドの具体的な利用方法
トレンド相場での考え方
1つ上の章【ボリンジャーバンドの抑えるべきポイント】で説明したポイントをトレンド相場で利用した場合、バンド収縮で近いうちにトレンドが発生する可能性を知ることができ、トレンドが発生するかもしれないと予測を立てることができます。
更に±2σを5%未満の確率で、ローソク足の実体がぬけた場合、トレンドが発生している可能性が高いので順張りを考えることができます。
既にトレンドが発生している場合、±2σ~±3σに吸い寄せられたような状態で値動きが推移することがあります。
これを『バンドウォーク』といい、このような動きの時はさらにトレンドの発生した方向へ値が進んでいく傾向にあります。
このようにトレンド相場をボリンジャーバンドで捕捉し、エントリー方向を固め、あとはご自身の使っている売買ルールやレジサポ、他のインジケーターやテクニカル指標と組み合わせながらエントリーポイントを導き出して取引をしていきます。
レンジ相場での考え方
『ボリンジャーバンド±2σ内に値動きが収まる確率は95.5%』このポイントを利用した考え方はよくレンジ相場で使われます。
まずはボリンジャーバンドの上下の幅(価格の変動幅)がおおむね一定であることを確認、±2σにローソク足がタッチ、反転が確認されたら逆張りを考える。
仮に±2を突破したとしても5%の確率で抜けてきたという事は売られすぎ、買われすぎの状態であり再びバンド内に値動きは収束するという考え方です。
レンジ相場で注意すべき点は、
バンドが収縮してきている→エクスパンションが起こるかもしれない→レンジ相場終了 です。
レンジ相場が終了したらトレンド相場です。トレンド相場になるとボリンジャーバンドのレンジでの考え方は適応できなくなりますので相場の変化には十分注意が必要です。
ボリンジャーバンドの欠点
レンジ相場でボリンジャーバンドを利用する場合
95%の確率で反発する特徴を使い、残りの5%の場合でも買われすぎ売られすぎで反転と仮定し逆張りエントリーの考察に利用ますが、裏を返せば
ローソク足の実体が±2σを抜けるという事はそのわずか5%の確率でおこる異常な状態が起こっているという事にもなり、相場でのそういったイレギュラーな状態が、大きなトレンドを引き起こす引き金になる可能性が高いのも事実です。
常に注意、確認しないとそのままトレンド相場に変化し逆張りはロスカットという事態もよくあるケースです。
トレンド相場でボリンジャーバンドを利用する場合
冒頭でボリンジャーバンドの中心は移動平均線と書きました。
この移動平均線というのは『遅行指標』に分類されローソク足の終値が更新されないとラインとして反映されません。
トレンドのように急激に値が動いた場合、値動きに対してラインやバンドはついいけずローソク足に対して遅れてついてきます。
順張りのエントリータイミングが遅れてしまいがちになる、こういった欠点もあります。
こういった欠点を補うために
- 逆張りを考える場合、バンドでのタッチだけではなく、きちんと反転を確認してからエントリーを考える
- バンドの収縮やエクスパンション(拡大)、バンドウオークを確認してレンジ相場、トレンド相場の継続や終了、相場の変化に十分注意する。
- 長期足の流れやレジサポ、トレンドライン、他のインジケータなどと組み合わせエントリーに対してのリスクを軽減していく
こういった対応策が必要になってきます。
【最後に】
冒頭で書きました『どっち?』の問題も解決、ご理解頂けましたでしょうか?
このボリンジャーバンドは奥が深く、理解を深めようとすればまだまだいくらでも勉強すべきポイントは見つかります。今回紹介させていただいたのはほんの一部です。
これを機会にさらにこういった数式やテクニカル指標への興味や探求心の足掛かりになれば幸いです。
このボリンジャーバンドに限らず、どのテクニカル指標も、いろんな数式で導き出された答えをラインやバンド、グラフとして視覚化しています。それらをもとに相場の値動きの中でエントリーするための手掛かりを探すために利用していきます。
何度も書きますが大切なのは、各テクニカル指標の特性をそのままそれだけでエントリーに使うのではなく、エントリーするポイントを探し出すための一つの材料、武器として、長期足の流れやレジサポ、トレンドライン、その他のテクニカル指標などとうまく組み合わせて使うことが、リスクを軽減し利益につなげていく上手な使い方となります。