FX取引をする上で、値動きのチャートをみる方は多いですが、チャートには日足や1時間足といった様々な時間足が用意されています。
あなたはどの時間足で方向性を確認して、どの時間足でエントリーのタイミングをとっていますか?
取引スタイルによって、確認する時間足、確認しない時間足、それぞれありますが、相場の流れを把握する為に複数の時間足を使い、相場を分析する事をマルチタイムフレーム分析(MTF)といいます。
今回は自身の取引スタイルを明確にし、無駄のない効率的なトレード環境を作るマルチタイムフレーム分析について考えていきたいと思います。
マルチタイムフレーム分析(MTF)とは?
マルチタイムフレーム分析(MTF)とは、異なる時間足(日足、1時間足、5分足など)のチャートを見て現在の相場の方向性(トレンド、レンジなど)を知り、エントリーポイントを探していく相場の分析法です。
短期・中期・長期などのトレードスタイルに関係なく必要とされる基本的な分析法です。
名前は知らなくとも、日足を見たり1時間足を見たりと、エントリーする際に意識、無意識に関係なく皆さんやっている事と思います。
この分析法は基本的には上位(長期)の時間足を見ながら、下位(短期)の時間足でエントリーのタイミングやポイントを考えていきます。
これは長い時間足の相場の方向性に、その後も相場は進む確率が高いという事を前提に考えられているものです。
マルチタイムフレーム分析のメリット
一つの時間足だけを見てトレードをするよりも、複数の時間チャートを見ることで全体像を把握しながら、より良いエントリーポイントを探せる。
マルチタイムフレーム分析のデメリット
自分の取引スタイルを分かっていないと、どの時間足を意識すべきか分からなくなり、アレコレと時間足を見ているうちに、何が何やら分からなくなってしまう。
初心者の方や、かつて初心者だった方もチャートの時間足を切り替えて見ているうちに訳がわからなくなった経験は少なからずあるかと思います。
ですのでこのマルチタイムフレーム分析を実践した際に『迷わない、訳がわからなくならない様に』自分の取引スタイルを、まず確認していきましょう。
自分の取引スタイルの確認
取引スタイルというのは大まかに3タイプに分類できます。
*短期トレード
基本、1日で取引を終える取引スタイルとの事。取引を次の日に持ち越さず、その日のうちに終了させます。デイトレードとも呼ばれています。その中で最も短期で数秒~数分の間で売買を何回も繰り返し行う手法をスキャルピングと呼びます。
*中期トレード
短期トレーダー(デイトレード、スキャルピング)は24時間をひとつの区切りとしますが、こちらは2~10日程度の短期的な持ち越しをするような取引スタイルです。スイングトレードと呼ばれる事もあります。短期トレーダーより、少し長めのスパンでの取引スタイルになります。
*長期トレード
上記の二つ以上に長いスパンで考える取引スタイルです。
大まかではありますが、取引スタイルを3つに分類しました。
この中で、ご自身が当てはまる取引スタイルを探してみてくださいね。
マルチタイムフレームを使って分析するには、まず自分の取引スタイルをハッキリと理解する必要があります。
例えば、短期スキャルピングをして数分間に何回もトレードしている方が、週足や月足を意識しても、時間軸がかけ離れ過ぎてあまり意味がありません。意味がない時間足をアレコレ見て考えると頭の中がこんがらがり、自分のスタイルに本当に必要な方向性やタイミングを見失ってしまう可能性が大きくなります。
そうならないためにも、自分の取引スタイルを知ることは、マルチタイムフレーム分析の前にまず必要になってきます。
マルチタイムフレーム分析の3つの手順
このマルチタイムフレーム分析は前述の通り、長い時間足の相場の方向性に、その後も相場は進む確率が高いという事か前提です。
これを頭に置き考えていくと、
- ステップ1:長期足を見て全体の方向性を確認する
- ステップ2:中期足を見て売り買いの方向性を絞る
- ステップ3:短期足を見て取引のタイミング・ポイントを図る
という流れになります。
MT4を使用している場合、MT4で見れる時間足は、月足・週足・日足・4時間足・1時間足・30分足・15分足・5分足・1分足になりますので、それぞれの取引スタイルでマルチタイムフレーム分析をする場合はこのような手順になります。
取引スタイル | ステップ1 | ステップ2 | ステップ3 |
短期トレード (スキャルピング) |
4時間足 1時間足 |
30分足 15分足 |
5分足 1分足 |
短期トレード (デイトレード) |
日足 | 4時間足 1時間足 |
15分足 5分足 |
中期トレード | 週足 日足 |
4時間足 1時間足 |
30分足 15分足 |
長期トレード | 月足 週足 |
日足 4時間足 |
1時間足 |
こういった感じにスタイル別にマルチタイムフレーム分析のステップの組み合わせを考える事ができます。
上記の例はあくまで参考ですので、色々試してみながらご自身がしっくりくる組み合わせを探す事を強くお勧めします。
実践例
今回は参考例としてデイトレードでのマルチタイムフレーム分析を紹介したいと思います。
*マルチタイムフレーム分析をする際には、レジスタンスラインやサポートライン、トレンドライン等の知識が必須となります。このレジスタンスラインやサポートラインがわからない方はまずこちらを参考にしてください
手順1:長期足を見て全体の方向性を判断する(日足)
日足の方向性は、レンジ相場から下抜けをした下降トレンド→方向性は下
日足
手順2:中期足を見て売り買いの方向性を絞る(4時間足、1時間足)
4時間足でも右肩下がりの下降トレンドとなっており→方向性は下
4時間足
1時間足も一度跳ね返りはあるものの→方向性は下
跳ね返りのあったあたりに分かりやすいようにラインを引いておきます。
1時間足
この地点で日足、4時間足、1時間足、全て値動きは下へ推移しているのがわかります。
ここで売買方向を絞るなら売り注文が良さそうと考えられますね。
手順3:エントリーのタイミングを考える(15分足、5分足)
15分足では判断しにくいチャートパターンとなっています。
こういう場合、無理にレンジやトレンドと括る必要はありません。判断しにくい場合は、判断しにくいチャートパターンと判断しましょう。
15分足
しかし、長期足や中期足で方向性は下(売り)という分析結果がでてますので、15分足や5分足では取引をするタイミングをはかる事ができます。
一つタイミングの参考例を挙げるなら、例えば◯で囲っている109.550あたりです。
何故このあたりかというと、1時間足を分析した際に、跳ね返りを確認しラインを引きましたね。
こういったポイント(今回はレジスタンスラインでの反発)で売買のタイミングをとっていきます。
最後に
実践例のように、短期足の単一チャートだけでは判断が難しい場合でも、複数のチャートを分析することで判断ができるようになります。
このようにやる事自体はそんなに難しい事でなくても、でも間違ったまま実践してしまうと良い結果には繋がりません。
マルチタイムフレーム分析を正しく実践する為には、まず自身の投資スタイルを明確にする必要があり、自身の投資スタイルが〇〇だからこの時間足といった正解やセオリーはなく、しっくりとくる時間足のチョイスを試行錯誤していかないといけません。
いずれにせよ自身の投資スタイルを知り、ある程度は基礎知識を身につけて望まないと、良い結果には繋がらないという事です。